マネーフォワードグループの知財戦略方針
当社グループは、グループ全体の事業の継続、発展のため、知的財産を特許権、商標権、意匠権、著作権などの知的財産権に限られない、技術、データ、ノウハウ、ブランド、コンテンツ等を含むものと捉え、事業部門、研究・開発・デザイン部門、知財戦略部門が三位一体となって知財戦略を推進し、当社のMissionやVisionの実現を目指しています。
当社グループは、ユーザーの潜在化した課題をデザインアプローチによって可視化し、その課題を解決するため、当社グループで創出された知的財産を戦略的・有機的に組み合わせ、効果的な知的財産の保護や活用を行い、グループ全体の知的財産活動の向上に努めています。
こうした知的財産に関する取り組みを通じて、当社グループとしての創造性を発揮し、ステークホルダーに対する新たな価値の提供及び社会課題の解決に努めています。
知財戦略体制
当社グループでは、マネーフォワードの代表取締役社長CEO・取締役グループ執行役員CTO・グループ執行役員CDO(Chief Design Officer)・Money Forward
Lab所長・知財担当グループ執行役員・知財戦略部長で構成される知財戦略会議を隔月開催し、当社グループの知財戦略方針を決定したうえで、知財戦略推進状況の共有、相談等行っています。また、知財戦略会議にて決定した知財戦略方針の内容及びその推進状況について、取締役会で報告を行っています。
知財戦略部門は、経営陣、当社の各事業部門及び各グループ会社と社内チャットツール等によりいつでも相談・連携が行える体制をとっており、当社グループにおける課題やその対応等について共有・相談等を行い、そのフィードバックを元に次のアクションプランにつなげるなど事業スピードを優先した知財戦略活動を推進しています。
事業成長に資する知財戦略推進
当社グループでは、事業部門、研究・開発・デザイン部門、知財戦略部門間の連携により、新規サービスの検討段階から知的財産の創出、知的財産権の発掘・権利化を行う等、知的財産(権利化されたものだけでなく、技術・データ・ノウハウ・ブランド・サービス等)による競争力の確保、技術やデザインの優位性の確保、ブランド価値の向上に努めています。
知的財産ポートフォリオ
当社グループは、コアテクノロジーである「アグリゲーション」や「ユーザーインターフェース」等を基盤として、事業活動の中で知的財産が創出され、このようにして創出された知的財産は、当社グループの事業の成長、売上の拡大へ直接的・間接的に寄与しています。また、このようにして創出された知的財産を権利としても保護し、ポートフォリオを構築しています。
また、当社グループのコアテクノロジーによって創出された知的財産として、例えば以下の知的財産権(特許権・意匠権)があります。
登録番号 | 要素技術・デザイン | 関連ドメイン | 現在・将来の提供価値 |
---|---|---|---|
特許第6534085 | アグリゲーション | Business、Home | ユーザーの業務負荷軽減や資産管理の実現 |
特許第7146339 | アグリゲーション | Business | ユーザーの業務負荷軽減 |
特許第6831165 | アグリゲーション | Home 、Business | 当社グループの生産性の向上や金融機関のシステム負荷軽減 |
特許第7117360 | データハンドリング | Business、Finance | UXの向上 |
特許第7186273 | 機械学習 | Finance | 当社グループの生産性の改善 |
意匠登録1687595 | 画面デザイン | X 、Business | UXの向上 |
そして、知的財産の活用においては、商談時の表示や訴求によって当社グループの技術力やデザイン力の優位性を示す等、当社グループの事業戦略を後押しする知的財産の保護・活用を行っています。
発明・創作者表彰制度「INVENTION AWARDS」
当社グループでは、半期に一度、グループ全社が集うグループ朝会において、特許権や意匠権を取得したメンバー、発明や創作の創出や発掘を行ったメンバー、知財リテラシー向上に寄与したメンバーをそれぞれ表彰しています。
当社グループメンバー全員が集う場で、受賞者が取り組み内容を発表し、その貢献を称える機会を設けることで、「全員が当たり前に知的財産の創出や活用に取り組む」組織風土の醸成、更なる知的財産の創出へとつながっています。
また、表彰式は、知財戦略部とデザイン戦略室で運営し、当社グループのデザイナーによるオリジナルのトロフィーやワッペンを製作し、受賞者全員に贈呈しています。
知的財産を創出する人材育成
当社グループでは、知財戦略推進において、知的財産を生み出す「人」こそが重要な資産であるとの考えから、職種や課題に応じた勉強会やワークショップを実施し、役職員一人ひとりの知的財産に関する知識の向上及びその活用に向けた取り組みのための教育を行っています。
入社時研修・オリエンテーション
当社グループでは、入社日初日に中途入社者全員を対象として、知的財産研修を実施し、当社グループの知財戦略方針や知的財産に関する取り組み等について、簡単なクイズ等も交えながら説明しています。
研修項目 | 実施月 |
---|---|
知的財産全般 | 毎月2回 |
新卒社員向けオリエンテーション・研修
当社グループでは、新卒向けに、知財戦略方針の説明に加え、知的財産に関する基礎的な知識習得を図るための知財オリエンテーションを実施しているほか、当社グループメンバー一人ひとりが、課題の発見から知的財産を意識した解決方法の検討を行えるような発明ワークショップを実施しています。
研修項目 | 実施月 |
---|---|
知的財産全般 | 2023年4月 |
商標権・著作権・ブランド・表示 | 2023年4月 |
特許権・意匠権・発明ワークショップ | 2023年4月 |
中途社員向けオリエンテーション・研修
当社グループでは、プロダクトマネージャーとデザイナーが二人三脚でデザインアプローチを使用した課題発見・課題解決によるプロダクト開発を行っています。そこで、プロダクトデザイナーの知財リテラシー向上のための取り組みとして、デザインツールを題材とした「UIデザインと特許」について学ぶワークショップをデザイナーと知財戦略部門が共に考え、プロダクトデザイナー向けに開催しています。
また、当社グループのブランド認知・向上のための取り組みとして、商標権や著作権、表示規制等について学ぶ勉強会をコンテンツ制作者や広報担当者向けに開催しています。
研修項目 | 実施月 | 対象者 |
---|---|---|
UI特許・意匠・ワークショップ | 2023年7月 | デザイナー |
特許権・調査 | 2022年12月 | 全社員 |
商標権・著作権・表示 | 2023年 3月・4月 | コンテンツ制作者 |
特許権・調査 | 2023年 6月・7月 | サービス開発担当者 (主にプロダクトマネージャー) |
特許権・調査 | 2023年 9月・10月 | サービス開発担当者 (主にプロダクトマネージャー) |
商標権・著作権・表示 | 2023年10月 | 広報担当者 |
ブランド・デザインの推進
ブランド/商標
当社グループではブランドを資産として捉え、ブランドガイドラインを策定、企業カルチャー、サステナビリティ、製品キャッチコピー、ネーミングやロゴ等において一貫性をもたせる等による、マネーフォワードグループのブランドを育てる活動に努め、組織として統一したブランディングを推進しております。
知財戦略方針に基づくこれらの取り組み成果として、2022年には、日本最大級のグランディング会社である株式会社インターブランドジャパンが主催する「Japan Branding Awards 2022」において、ブランディングを通じて著しい成長を収め、卓越したオリジナリティのある取り組みを行うブランドに贈られる賞「Rising Stars」を受賞しました。
2023年には、経済産業省・特許庁が主催する令和5年度の知財功労賞において、世界に通じる優れたデザインを生み出し、知的創造サイクルの実践に寄与した人材やデザイン経営を取り入れながら、知的財産を有効活用している企業に贈られる「特許庁長官表彰(デザイン経営企業)」を受賞しました。
また、当社グループでは、当社グループのコーポレートブランド及びプロダクトブランドの確立のため、商標権の確保、プレスキット提供等を通じて、ステークホルダーの皆様の信頼の獲得を目指しています。
当社のブランドを象徴する商標として、例えば以下の商標があります。
商標 | 関連ドメイン |
---|---|
Money Forward | 全ドメイン |
全ドメイン | |
全ドメイン | |
Business | |
Home | |
Mikatano | X |
Finance |
デザイン/意匠
当社グループでは、プロダクトのデザインの創出において、様々な業種のユーザーリサーチ、ワークフロー分析等による課題発見、ユーザーテストから導き出した使いやすさ、様々なユーザーの利用場面に対応可能なフレキシブルなシステムデザインを追求しています。
- ・ビジネスカード 『マネーフォワード Pay for Business』
キャッシュレス化を推進する申込・発行フローや、隅々まで行き届いたUI/UXデザインが評価され、株式会社マネーフォワードが提供する、SaaS基盤を活用したFintechサービス『マネーフォワード Pay for Business』は、「2022年度グッドデザイン賞」を受賞しました。 - ・SaaS管理プラットフォーム『マネーフォワード Admina』
連携の簡易さ、コストや利用状況の可視化、インターフェイスが評価され、マネーフォワードi株式会社が提供するSaaS管理プラットフォーム『マネーフォワード IT管理クラウド』(※)は、「2022年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
※『マネーフォワード IT管理クラウド』は、2023年2月22日より「マネーフォワード Admina(アドミナ)」にサービス名称を変更しております。
第三者の知的財産権の尊重
当社グループは、第三者の知的財産権を尊重し、侵害リスクの回避等を行っています。
具体的には、「マネーフォワードグループ コンプライアンス・マニュアル」に則り、新規サービスの提供や新規技術の研究・開発を行う際には事前調査を行い、第三者の知的財産権を侵害しないように努めています。
また、当社グループは、第三者の商標権や著作権の使用・利用時のルールを定め、知財戦略部門で作成したチェックリストに基づいた事前の確認や相談、事前調査を行っているほか、チェック項目に沿った確認及び事前相談の徹底を行う等、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めています。
当社グループでは、入社時研修や新卒社員向け知的財産研修、各部門向けの勉強会を定期的に開催しているほか、毎年1回、知的財産に関するコンプライアンス研修を実施しています。